新型コロナワクチン3回目接種が早ければ来月中には開始されそうです。
ファイザー製やモデルナ製などのmRNAワクチンは、
驚異的な感染予防効果が確認されていましたが、
感染予防効果の減衰がはっきりわかるようになり、
3回目のブースター接種が必要になってきました。
mRNAワクチン接種から半年後の感染予防効果は約20%に落ちるのではないかとされ、
ブースター接種により、11倍の感染予防効果が期待できるようになります。
ただ、重症化予防効果のほうは接種半年後でも高いことが確認されています。
このワクチンの副反応は、かなりの頻度で現れ、
しかし、そのほとんどは軽度であり、数日で軽快します。
アナフィラキシーについては、接種直後に起きるものであることから、
接種現場で観察すれば、対応が遅れることはありません。
そんな副反応の中でも、気になるのが心筋炎ではないかと思います。
報道で多く採り上げられることから、注目度が大きいのですが、
頻度そのものはさほど高くありません。
アメリカでの3億回接種のデータでは、1,226件の心筋炎、心膜炎が確認され、
100万回あたり約4人にこれらの症状が現れたことになります。
心筋炎はウイルス感染症の症状として現れることがあり、
不明の場合も少なくありません。
心膜炎は心膜という2枚の薄い膜の隙間である心膜腔に炎症が生じ、
液体がたまることも。
原因不明の場合、ウイルス感染の場合など、原因は多様です。
心筋炎や心膜炎がウイルス感染症の症状で現れ、
もちろん、新型コロナ感染症の症状の中にも心筋炎や心膜炎があります。
その頻度は100万人の感染者で340人でした。
ワクチン接種後の心筋炎を心配するにしても、
リスクのどちらを選ぶのかを考える必要があるのでした。
ワクチン接種後の心筋炎は治療可能だと考えてよいでしょう。
一方、感染して肺炎などの症状があり、
さらに心筋炎、心膜炎もある場合には、
治療可能だとは限らないでしょう。
後遺症のリスクも考える必要があります。
ヘレン・ハイド「Butterflies」
さて、日本では第6波を警戒しつつ、
経済活動を従来の形に少しでも近づけようとしています。
おそらく第6波到来は間違いなく、
個人的には、インフルエンザの流行と重なることを危惧しています。
昨年、流行が確認されなかったインフルエンザですが、
インフルエンザウイルスに対する免疫が充分でない人が多いことが予想され、
大流行になるのではないかともいわれています。
国は新型コロナ感染症患者の増加に対し、
病床の拡充などを進めています。
第5波の中、週刊誌などが医療機関が空き病床だらけなのに、
補助金を受け取っていると非難していました。
日本の医療制度は、病床を埋めておかないと、利益が出ないシステムです。
病床を埋めておくと、パンデミックに対応できません。
そこで国や自治体は補助金を出す形で、
空き病床を作らせているというわけです。
現実には、新型コロナ感染症患者を受け入れるつもりがないのに、
補助金を受け取っているところもあるでしょう。
ただ、週刊誌などが非難するように、
「使われなかった新型コロナ病床に補助金が」
と、批判してしまいますと、
公立の医療機関以外、
どこも新型コロナ感染症患者を受け入れなくなります。
ワクチンの普及により、第6波はこれまでとは違う形になるかもしれません。
「今日の新規感染者数」の報道の意味も変わってくるでしょう。
ただ、単純に
「使われなかった新型コロナ病床に補助金が」
と批判するだけでは、協力しない医療機関が増えるだけ。
その認識が必要であろうかと思います。