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「オミクロン」に関する情報はまだデータが少ないことに留意が必要

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これまでほとんど「オミクロン」という言葉を発したり、
文字で書いたりしたことなかったと思うのですが、
もう既にその何百倍もの回数で「オミクロン」と書いています。

変異ウイルス・オミクロンは南アフリカ共和国で確認されましたけれど、
たまたま、見つかったのがこの国だったと考えるほうが自然かもしれません。
アフリカ諸国では、ワクチン接種率が10%程度の国が多く、
感染者数は多いままです。
検査も我々の国ほどではありません。
ましてや、変異ウイルスをしっかり検出ができる国や地域がどれほどあるでしょうか。
南アフリカではそれができたので、
発見できた可能性のほうが高いように思います。

これまでもお書きしたように、
ウイルスは自分自身でコピーを作ることができませんので、
宿主の力を利用することになりますが、
宿主の体内でコピーを作る時に、コピーミスが起き、
これが変異ウイルスという形になって現れます。

変異は宿主の中でしか起きないため、
感染者が多ければ多いほど、変異の機会が多くなり、
つまり、今後の変異を抑制したければ、
アフリカ諸国のような国に対し、ワクチンの普及を図ることが重要となります。
一般的にコロナウイルスは変異しやすいため、
変異するのは当たり前。変異の機会を減らさねばなりません。

ただ、我が身可愛さ、自国第一となり、
それが難しくなっています。
実際に行うにしても、
数十億人分のワクチンを簡単に用意できるものでもありません。

 

吉田博「瀬戸内海集 帆舩 朝」

 

オミクロンについては、まだまだわかっていないことだらけで、
その状態で報道が先行する形で、
不確かなことが確実であるかのように受け止めている人もいるようです。

たとえば、感染力が強いという点。
たしかに、強い伝播性を持っている可能性が高いという印象を受けますが、
まだ確実ではありません。

次に「感染力が強いということは、毒性が小さいということだ」というもの。
ネット上でじわじわと支持されつつある意見です。
これも前にお書きしたのですが、進化論的には正しい考え方です。

寄生者にとって宿主は欠かせない存在で、
宿主なしに子孫を残せません。
宿主を死に至らしめるような寄生者は、
やがて寄生する宿主を失い、子孫を残せなくなります。
そんな寄生者の集団の中に、弱毒性の個体がいた場合、
宿主を殺さない彼らだけが子孫を残せることになり、
寄生者自身が作りだした淘汰圧により、
やがて、弱毒性の寄生者のみとなります。

ウイルスは生物として扱われていませんが、
同じ理窟が当てはまります。
ただ、なぜ弱毒性のウイルスだけになるかといえば、
感染者が死んでしまうからなのです。
私たちはワクチン接種のほか、さまざまな感染予防を行ってきました。
デルタまでの新型コロナウイルスは、
感染した者が皆死ぬというほどの淘汰圧は生まれていません。
つまり、現状のこのウイルスにおいては進化論的な
「感染力が強いということは、毒性が小さいということだ」
が成立しないことになります。
もしも、世界中がかつてのインドのような状態で放置され、
死屍累累となれば、状況も違っていたかもしれません。
しかし、それは期待してはいけないことです。

ちょうど今、オミクロンの感染者に死亡の報告がないという報道がありました。
WHOの報道官から出た話のようで、
喜ばしいニュースかと思います。
ただ、何しろ情報が少なく、
さらにアルファの頃にはなかったワクチン接種済みの人が増えています。
今のところ、報告にある感染者の多くに小児が含まれ、
元々、小児が死に至るケースが少ないため、
現在の死亡例なしということになっているのかもしれません。

願わくば、強い伝播性を持つものの、
重症化しないような性質を持つ変異ウイルスが出現しないものかと思います。
そうなれば、この連鎖から抜け出すことができるのですが。
そのあたりは運次第としか言いようがないのがつらいところです。
とりあえず、私たちにできることは、
手指の消毒、換気、密の回避、人と接する時のマスク着用。
今までと変わらない対策ですね。


なお、オミクロンに対するファイザーのワクチンについて、
接種完了6か月以内、または3回目接種者における感染予防効果は、
90%という数字が確認され、
重症化予防については93%。
これも、まだサンプル数が少ないという留意が必要ではあるものの、
いいニュースかと思います。

 

 

 

 

 


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