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オミクロンの「率」だけに注目しない 病床を埋めるのは「数」

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オミクロンについては、あまりよくない情報が続いています。
ファイザー製ワクチン2回接種者における感染予防効果は、
35~40%程度に落ちる可能性が高まってきました。
3回目の接種であるブースター接種により、75~80%というのが、
今のところの情報です。
なお、2回接種者の重症化予防効果については80~96%程度でしょうか。

 

 

三木翠山「新選京都名所第一集 一 東山の雪」

 

オミクロンでは重症化しにくいという主張がありますが、
その判断にはデータが不足していると前回お書きしました。
最も早い流行後のデータがあるのは南アフリカ共和国で、
たしかに重症化率は高くないようにみえます。

ただ、この国と日本の年齢別人口構成の違いを無視してはいけません。
「国立社会保障・人口問題研究所」のサイトで確認してみますと、
https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2021.asp?fname=T02-15.htm

0~14歳、15~64歳、65歳以上の区分では、それぞれ
43.5%、53.8%、2.7%となっています。
日本の場合は
12.4%、59.2%、28.4%で、
高齢者の割合が全く違います。

高齢者が少ないから重症者が少ない。

その可能性があるのです。
オミクロンでは若年層に感染者が多く見えるのも、
その影響があるように思います。

あと、意外に忘れがちなのが「率」と「数」です。
マスコミは「数」を大きく見せたい時、
小さく見せたい時に「率」を強調することがあります。
逆に「率」の数字から受ける印象を変えるために、
「数」を強調することがあります。

重症化率といった報道に、そのような意図はないとしても、
「率」を見た時には「数」を、
「数」を見た時には「率」を考える必要があるはずです。

仮にオミクロンがデルタよりも低い重症化率だとしても、
その中から一定の割合で重症者が出てくることになります。
感染者数が増えれば、重症者数が増えることになり、
病床が埋まっていくことになります。

現場の限られたスタッフで対応できる限界は「数」で想定されています。
私たちが感染拡大防止に努めているのは、
医療を逼迫させないためです。
医療が逼迫すると、この感染症を含め、
助けられるはずの命が助からなくなります。
まず注目すべきは「数」です。
「率」は「数」を想像させ予測するための手掛かりなのかもしれません。

オミクロンはデルタよりも重症化しにくいとしても、
オミクロンが重症化しないわけではないんです。

「率」でいえば、インフルエンザ患者と同等の医療提供で、
重症化率、致命率がインフルエンザと同等か低くないと、
新型コロナ感染症を「ただの風邪」とはいえないでしょう。
インフルエンザよりも低くなったとしても、
今のように手厚い医療を必要とするようでは、
私たちは安心できないわけです。

 

デルタと比べオミクロンは感染力が強いというのは間違いないようで、
再感染もしやすいのではないかという情報もあります。

おそらく、オミクロンに対応したワクチンが必要になるかと思います。
各社既に着手していて、mRNAワクチンであれば、
短期間で作ることができるかと思います。

ただ、有効性や安全性の確認のため、
治験を行う必要があり、ここに時間を要します。

オミクロンについても引き続き知識のアップデートが必要です。
南アフリカの次にデータとして見るべきなのはイギリスでしょうか。
少し前の予測では、
この国での感染者の半数がオミクロンになるとされていました。
ただ、重症化率などのデータが出るのは早くても2022年1月中。
日本では時間を稼ぎたいところです。

 

 

 

 

 

 


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