ロシアによるウクライナの複数の都市に対する攻撃が始まりました。
プーチン大統領は、
ウクライナ政府に虐げられてきた人たちを守るための特殊軍事行動だとしていましたが、
ロシア軍が展開しているのは、ウクライナ全土。
プーチンが守るとしていたのは、
ウクライナ東部の限られた地域に住むロシア系住民たちが対象であり、
その地域への侵攻も正当化されませんが、
全土に対する攻撃は、大義名分を取り繕おうとする努力すら行っていません。
Twitterを見ていると、日本国憲法第9条を金科玉条の如き掲げてきたアカウントで、
「9条があっても他国からの侵略を防ぐことはできない」という主張に対し、
「9条は日本が他国を侵略しないためにある」と主張を変えてきたことに気付きます。
「9条で日本を守る」と言い切ってきた彼らでしたが、
自分は間違っていないと言いたいだけの論点のすり替えです。
Todros Geller「Strange Worlds」
ロシアは日本の隣国です。
今の状況を日本にあてはめてみますと、
「北方領土に住むロシア系住民を守るために軍を派遣する」
として、ロシアは進軍し、
さらに日本全土を侵略しているようなものです。
ロシアの工作であるにせよ、
ウクライナ東部に独立派がいるのは事実で、
その地域の平和維持というのがロシアの言い分なのですが、
北方領土を含む北海道に日本からの独立を考えている勢力がいるのかは知りません。
ただ、沖縄にはいます。
おそらくは、それらはノイジー・マイノリティで、声が大きいだけ。
多くは独立なんて考えていないサイレント・マジョリティなのでしょう。
しかし、ノイジー・マイノリティの声を中国が利用するとすればどうでしょう。
「日本政府に虐げられている沖縄の人たちを守る」
という名目で、中国軍が侵攻してきたとすればどうでしょう。
そして、日本全土が戦場になるのです。
今、ロシアが行っているのはそういうことであり、
憲法第9条は日本国国民の足枷にこそなれ、
侵略を防ぐ役割を果たすことはありません。
プーチンの理窟では、こういうこともあり得ることになります。
ここ5年ぐらいの間に起こりうる事態を考えてみましょう。
世界で最もこの事態を注視しているのが中国です。
注視するのは、この問題への欧米の対応。
それは台湾に軍を進めた時の欧米の対応を予測することができるからです。
NATOは非加盟国であるウクライナを守る義務はありませんが、
もしも、この問題で現時点までのように、
甘い対応を続けるようであれば、
台湾を力尽くで手に入れられると考えても不思議ではありません。
そして、その前に押さえられるのが尖閣諸島で、
この島々を日米に使われるのは戦略上危険ですし、
自ら利用することを考えるでしょう。
台湾有事は、日本にとっても有事なのです。
対ロシアに限っても、これは対岸の火事ではありません。
パリで脳外科医として勤務されていた「脳外科医ふみ」さんのtweetです。
ウクライナの反対側にいる、ロシアの隣国である日本。いつまで他人事でいられる?この状況を見ても自分達は大丈夫だといえる?もうロシアという国が壊れるくらい国際社会が制裁を加えて、戦争という選択肢がどれ程恐ろしいか思い知らせる必要がある。力には力しか無い。
https://twitter.com/inParis22122975/status/1497187599974158340
今の報道の状況は、ヨーロッパ各国と日本では、
大きな温度差があるようです。
隣国なのに、日本では所詮、他人事、対岸の火事のような扱いです。
世界の歴史を見ても、日本のように数千年単位で、
他国からの軍事的干渉が少なかった国はあまりなく、
常に他国からの侵略や支配を受けていた歴史を持つ国のほうがはるかに多いのです。
だから、各国の憲法に「第9条」のような平和条項がないか、
平和条項があっても、理念としての位置づけなのでしょう。
ロシアのガルージン駐日大使は、追加制裁を発表した日本政府に対し、
北方領土問題に影響が出ることを示唆。
制裁しなければ、どうなっていたというのでしょうか。
現状、この事態を収拾できるとすれば、
やはり中国になろうかと思います。
ロシアにとって中国は最大の輸出先であり、
ウクライナにとっても中国が最大の輸出先です。
最近も中国は天然ガスと石油に関する大型の契約をロシアと結んだばかりで、
30年間という長期にわたり、購入することになります。
近年、中露は接近しており、
特に習近平はプーチンの地位確立の手法を手本にしようとし、
尊敬しているとされます。
オリンピック期間中に軍事行動を起こされ、
そしてパラリンピックはこれから。
顔を潰されたはずの習近平でしたが、
その反応は大人しいものでした。
逆にプーチンは習近平の顔など気にも留めていないことがわかります。
中国から見たウクライナは、一帯一路構想の重要拠点になります。
輸入ではトウモロコシが特に多いようで、
輸入の90%以上がウクライナから。
ブタの飼料に多く使われています。
また、中国初の空母もウクライナから購入したものです。
ここで中国が両国双方へのパイプを活かし、
仲介する可能性があると思います。
特に「各国から乞われて」という状況になれば、
中国にとってオイシイ展開になります。
既にブリンケン国務長官が王毅外相に助力を依頼しています。
収拾のもう一つの可能性は
ロシア国内における反戦、反プーチンの気運の高まりでしょうか。
既にデモを行った市民を次々と当局が拘束しており、
手に負えないぐらいになれば、時代が動く可能性があります。
ロシア研究家の中で、プーチンの決断を予測した人はいないとされます。
それは、侵攻が彼にとって損にしかならないからです。
それでも、彼は隣国を侵略し始めました。
旧ソビエト構成国や、旧ワルシャワ条約機構加盟国のうち、
現在、欧米に近い立ち位置の各国は、
戦々恐々ではないかと思います。
そういう損得勘定すらせず、会話が成立しない連中からも、
国民と財産、国土を守るのが国の責任なのです。