Now, We all have to choose between peace and aggression,
between justice and the will of the strongest,
between taking action and turning a blind eye.
今選択しなければならない、平和か侵略かを。
正義か強者の願望かを。
行動を起こすのか、それとも見て見ぬふりをするのかを。
国連総会の緊急特別会合において、
ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相が述べた言葉です。
ウクライナには、ソビエト時代にシェルターとして作られたスペースがあり、
これが後に地下鉄駅となり、
現在、ウクライナ国民が逃げ込んでいるシェルターとして使用されています。
ソビエト時代にロシアが用意したシェルターに、
ロシアからの攻撃から命を守るためにウクライナ国民が逃げ込んでいる形です。
そんな、キエフの地下鉄の駅で女の子の赤ちゃんが産まれました。
ミアと名付けられた産まれたばかりの彼女にもプーチンは攻撃しているわけです。
そんな状況の中でのベアボック外相の演説でした。
いわさきちひろ「焔のなかの母と子」
今でも、日本でこの侵略にはウクライナにも非があるとする声があります。
NATOへの接近を図ったからだと何とか。
そして、ロシアへの妥協を求める声も。
前回、お書きしたように、日本のように他国から侵略されたり、
政治的干渉を受けたりしたことが少ない国はあまりなく、
経験したのは、先の大戦後のGHQによる統治ぐらいでした。
あの時、幸運だったのは、
GHQで主導権を持っていたのが比較的理性的で
文民統制がとれたアメリカだったことと、
それでも、連合国各国の間で綱引きがあったこと、
そして、ほかの地域で緊張感が高まっていたこともあり、
私たちは、占領下でもほかの事例よりもマシな状況でいられたわけです。
たいていは生命の保障すら怪しく、
生きていても、死んだ方がマシな状況になることが多いかと思います。
アメリカとは違い、ロシアは日本人捕虜をシベリアに抑留しました。
女性たちの場合、どんな酷い目に遭わされたかはここではお書きしません。
40年程前に書かれた上野千鶴子の『女遊び』には、
「女を守る男」の虚構性を暴く文脈の中で、
男たちはいったい何から女たちを守ることになるんだろうか。考えてみると、これもバカバカしいことがわかる。男たちは他の男たちと争いを起こして、自分の女たちを守っているだけである。「守られて」みなければ、敵のほうがもっと「いい男」かもしれないのだ。
と書いています。
1945年に北方で起きた出来事を微塵でも知っていれば、
こういうことは書けないはずです。
ノルマンディー上陸作戦の時のように、
敵味方だけでは理解できない事例もあります。
ウクライナでは国民総動員令が発出され、
18歳~60歳の男性が出国禁止になりました。
彼らが戦力だからです。
私はゼレンスキー大統領の判断を批判できません。
愛する男性を置いて、ウクライナを脱出しようとしている女性たちは、
侵略中のロシア兵に「いい男」なんかを求めていないのです。
デンマークのマルティン・ビレ・ヘルマン国連大使は、
ロシアが戦いをやめれば、戦争はなくなる。ウクライナが戦いをやめれば、ウクライナがなくなる。これが目の前にあるシンプルな現実であり、真実だ
と訴えました。
昨日、ロシア軍がザポロジエ原発を攻撃しました。
ロシアは砲撃を否定していますが、
ウクライナ空軍基地はロシア軍に制圧されていますので、
ウクライナ軍には不可能。
空から攻撃している映像も存在し、言い逃れは不可能です。
それでも、嘘を吐き続けています。
2月、アメリカはISのアブイブラヒム・ハシミを殺害したと発表しました。
2011年5月にはアルカーイダのオサマ・ビンラディンを殺害していて、
テロリストとの戦いの中で、何人かの指導者を殺しています。
アメリカに殺された彼らの評価が正しかったのかどうかはわかりませんが、
ウラジーミル・プーチンについても、
もうテロリストという扱いでよいのではないかと思います。
ビンラディンやハシミ以上に、
世界にとっての巨大なリスクなのですから。
今回の原発への攻撃は核兵器の使用に準じる行為です。
そして、核兵器使用のハードルが確実に下がりました。
ウクライナ全土を焦土とするのではないレベルの核兵器なら
充分に使用する可能性があります。
おそらく、彼個人を排除する方法も検討されているかと思いますが、
ビンラディンや金正恩などと同じく、
所在の場所を特定するのは相当に困難なのでしょう。
今のところ、希望があるとすれば、
内外の力により彼個人を排除できるかどうかと、
遺体となって帰国したロシア兵が生み出す国内の厭戦ムード、
摘発当局を巻き込んだ反プーチンの盛り上がりぐらいしかないように思います。
そのためには、情報統制下にあるロシア国民に、
如何に正確な情報を届けるかが重要になります。
その努力は、中国に対する努力よりは、
難しくないはずです。