さて、参院選選挙戦の中、
立憲民主党の泉代表なとが
「岸田インフレ」と現在の物価高を批判しています。
これまでお書きしてきたように、
この物価高は外的要因が大きく、日本にできること少ないです。
円安については、米FRBの継続的な政策金利引き上げが原因で、
それまで、世界中に投資されていたドルが
金利の高いアメリカに還流しているかことから、
世界中の通貨がドルに対して価値を下げているわけです。
各国はアメリカ金融政策変更に合わせ、
自国通貨を守るために金利を上げていますが、
ドル建てなどの対外債務の膨張に対応してはいるものの、
どこの国も難しい判断を続けているかと思います。
アメリカが政策金利を引き上げたのは、
FRBが国民の給与もそれなりに上がっていると判断したからです。
アメリカのインフレは給与上昇を伴ったものなのですが、
日本の場合は違います。
リーマンショック以後に限ってみても、
ほとんどの国で一度は好景気というものを経験しています。
各国はリーマンショックで経済にダメージを受けましたが、
政府が財政出動を行い、市場を活気づかせるように促しました。
しかし、日本の経済対策は不充分で、
ここ20年間、あるいは30年間、ずっと不景気です。
ろくに経済成長せず、イノベーションも起きません。
学術の世界には、「選択と集中」という方針で、
「将来性が期待できる研究」のみに予算を集中させました。
研究なんてものは、進めてみないと将来性なんてわからないことがほとんど。
そうして、日本は貧しくなりました。
吉本月荘
今の日本で給与が上がっていないことは周知の通りで、
立民などは、日銀も政策金利を上げろなどと言っていますが、
そうすれば、国の債務が膨張するだけでなく、
企業や国民の負債、個人なら住宅ローンなどの金利が上昇します。
給料が下がることはあっても、上がる材料にもなりません。
中小企業の中には事業継続が難しくなるところが出てくるでしょう。
そういう体力のない企業は潰してしまったほうがいいという乱暴な意見もありますが、
失業者をどうするのか。
イノベーションが充分に行われていれば、
新事業がそれら労働者の受け皿になるのでしょうが、
今だと、単に失業者が増えるだけです。
それでいいんですか、という話です。
この選挙では、国民の生活の向上に資する
経済成長を考えている政党を選びたいと思います。
昨日発表された5月の全国消費者物価(CPI)は、2.5%上昇。
生鮮食品を除く全国消費者物価指数(コアCPI)は、2.1%上昇。
しかし、コアコアCPIは、0.8%しか上がっていません。
コアコアCPIは、価格変動が激しい食料、
石油・石炭・天然ガスなどエネルギーを除いたもので、
CPI、コアCPIで2%以上も上昇しているのに、
コアコアCPIの上昇が0.8%止まりだということは、
経済政策が全く足りていないということなのでしょう。
報道を見ても、コアコアCPIで報じているところはほとんどありません。
なお、穀物などの輸入食品やエネルギー関連は、
ウクライナ危機の影響もあり、金融政策でどうにかなるものではありません。
日銀はインフレターゲットとして2%を掲げましたが、
コアコアCPIの数字では全く達成されていません。
これでは、金融緩和を見直す理由にはならないのです。
なお、私は岸田政権は不支持ですし、
野党各党が掲げる消費税減税は評価します。
諸外国は物価高に対応するため、
日本の消費税に相当する付加価値税を減税しています。
その数91か国。日本のように頑強に消費税の税率を堅持する国は少数派です。
ただ、立民などの消費税減税の主張は反与党ということだけで、
ろくにその意味も、ろくに対策も考えているようには見えませんけれど。
下げれば下げただけの影響があり、その対策も必要になるのですから。