6月下旬から、危険な高温が続いております。
間もなく台風がやってきて、気圧配置から見ても、
どうやら、戻り梅雨が来る様子ですが、
水不足になることが確実視されていますので、
願わくば、被害のない程度の雨ぐらいは降ってもらいたいものです。
さて、熱中症による搬送が増えています。
この酷暑の中でも、屋外で1人歩いているのに、
マスクを外されない方が多いように思います。
マスク着用が深部体温を上昇させないことは既にお書きしましたが、
快不快も熱中症発症に影響します。
感染リスクが高くない状況ではマスクを外すというのは、
既にコンセンサスとなっていますので、
「積極的に」マスクを外してください。
また、マスクの非着用にこだわるあまり、
「マスクをしなければ熱中症を心配しなくていい」
という考え方になる人もいるらしく、
これも大きな誤りですので、注意してください。
今のような酷暑では、マスクがなくても熱中症発症のリスクがあるのです。
なお、現在、現場では新型コロナ感染症の入院例が増えてきています。
重症者は少ないものの、増え出すと一気に増えるのがこの感染症です。
mRNAワクチンに抵抗がある人は、せめて従来型のノババックスを摂取してください。
3回接種で重症化リスクを下げることができます。
高齢者などは時期が来ましたら4回目をお願いします。
吉田博「黒部川」
屋内で熱中症を発症する人も多いのですが、
予防のためには、冷房が最適解の一つとなります。
ただ、恥ずかしいことに、我が国は電力不足に悩んでいます。
国は恥ずかしいことに「節電ポイント」などという取り組みを始めるらしく、
「節電ポイントのために冷房を控えよう」なんて人が出てきたら、
この制度のせいで人が死んでしまうことになります。
電力などの基本的なインフラで苦しむのは、
実に恥ずかしいことです。
「恥ずかしい国、日本」を痛感する事態です。
一つにはウクライナ危機によるエネルギー調達の不安定化があるわけですが、
それ以上に問題なのは、原子力発電所を止めていることと、
発送電分離などの電力自由化を進めてきたことでしょう。
国際エネルギー機関(IEA)が温室効果ガスの実質排出ゼロ目標を達成と、
エネルギー安全保障を両立するためには、
2050年までに世界の原子力発電所の総出力を倍にすべきだという報告書を発表しました。
世界では原子力への回帰が進んでいて、
そんな中、プーチンの暴挙があり、さらに加速させようと動いています。
政治家たちの中には、原発再稼働などを公言すると、
票が減るという思い込みがあります。
結局は国民の生命よりも、議席のほうが大切ということかと思います。
今回の参院選では、再稼働を公約に掲げる政党に投票することとします。
(その党首についてはこれまで散々批判してきましたが一旦脇に置きます)
あとは発送電分離、電力自由化、再生可能エネルギーの推進ですね。
再生可能エネルギーについては、福一事故のあと、
私も計算しましたが、原発1基の出力を賄える太陽光発電を実現しようと思えば、
伊豆七島の新島、東京千代田区の倍の面積、
我が大阪府寝屋川市をパネルで覆い尽くせば、
原発1基ぶんが賄えるかもしれません。
とお書きしました(2011年6月)。
しかも、これほど気温が高いと電気への変換効率が低下し、
夜間はもちろん、雨天など天候の影響も受けます。
インフラとして活用できるほどの蓄電池の技術がない中、
およそ、ベースロード電源にはなりえません。
逆に出力が不安定であることから、
その調整に火力発電などのほかの発電所に力を借りなければならず、
それを推進する意味がわかりません。
ちなみに辛坊治郎さんが
辛坊治郎氏が断言 電力不足は太陽光で賄える!自宅屋根に設置して15年 実証実験済み
こんな馬鹿なことを言っていますが、
これは発送電分離がなされているからできることです。
太陽光だけで電力不足が解消されるなら、
この人は夜間、どうしているのでしょうか。
おそらく、日中に発電した電力を金銭に換えて、
火力などで発電した電力で生活しているのでしょう。
この人が「賄える」といっているのは、金銭の話に過ぎません。
この人のことですから、百も承知かと思いますが。
東京の有害都知事が新築建物に
太陽光発電パネルの設置を義務づけるとのことで、
築地-豊洲の風評加害でわかっていましたが、パフォーマンスが酷すぎます。
ビルが乱立する東京で、そんなことをしても
ロクに日光が当たらないパネルだらけになるでしょう。
しかも、太陽光発電設備の法定耐用年数は17年。
一斉に設置された太陽光発電システムは、
一斉に寿命を迎えます。
パネルには、鉛、セレン、カドミウム、ヒ素、アンチモンなどの有害物質が含まれ、
それをどうするつもりなのでしょうか。
環境を前面に押し出してはいるものの、
この人は環境のことなんか考えていません。
ポイントを稼ぐことしか頭にないのがこの有害都知事です。
そして、発送電分離の問題。
震災後、電力会社が徹底的に攻撃され、
発電と送電を分ける発送電分離が実施されました。
そして、700以上の電力会社が乱立することになります。
メディアは「電気代が下がる」ともてはやしましたが、
私は「電気代が上がる。不安定化する」と言い続けてきました。
世界では、以前から自由化をきっかけに電気代が上がり、
大停電などが起きていて、
わざわざ日本が各国の失敗を手本にする意味がわからないのです。
そして、今、それが現実に起きています。
単純な話です。
従来の電力会社は、発電から電力の販売の末端まで、
トータルでコストを振り分けていました。
自由化がなされれば、顧客の争奪戦に勝たねばなりません。
値引き合戦や広告に予算を投じなければなりません。
保守や発電所の増設などの部門が割を食うことでしょう。
新電力会社は事業を停止し、高い電気代が残ります。
しかも、再生可能エネルギーによる発電は、
余ろうがどうなろうが買い取りが義務づけられていて、
火力や原子力にはそのようなな規定はありません。
おかげで火力の採算性は悪化し、発電所の休廃止が増えていきました。
こうなることは当然なのです。
私たちは基本料金と使用した電力に対し、費用を支払っているわけですが、
さらに再生可能エネルギー発電促進賦課金なるものが上乗せされ、
これがさらに電気料金を押し上げています。
震災前と比べて、3割も上昇しています。
関西電力と九州電力は電気料金を下げた実績がありますが、
この2社は、不充分ながらも原子力発電所を稼働させています。
この夏、この2社管内は厳しい状況ではあるものの、
原発ゼロの東京電力、東北電力管内よりはかなりマシです。
関西電力は、美浜原発3号機を前倒しして稼働させることにしましたが、
それでも、この冬に間に合うかどうかでしょう。
さっさと決断しないと、死人が出る、増えることになってしまいます。
停電で電力が失われれば、
電気があることが前提で命を繋いでいる人が死にます。
非常用電源を備える医療機関もありますが、全てが備えているわけではなく、
稼働できる時間も限られ、停電からの電源切り替えでトラブルも予想されます。
人工呼吸器を使用しつつ在宅医療を続けておられる患者さんもいらっしゃいます。
内部バッテリーがあるものもありますが、数時間が限度でしょう。
そして、今、電力が失われ、大量の犠牲者を出すとすれば熱中症でしょう。
与党にも多くの野党にも、この危機感が共有されていないことに苛立ちます。