各国の状況を見てみますと、
やはり、インフルエンザ患者が増えています。
イングランド、フランス、ドイツなどで病床が埋まりつつあります。
これらの国ではRSウイルス感染症も増加中ですね。
北米については既に流行中で、医療を逼迫させています。
インフルエンザは既に、北半球の傾向と考えるべきでしょうか。
早期流行ということなのでしょう。
日本でもインフルエンザの流行が見られるものの、
これらの国よりもかなり軽いといえるでしょう。
もちろん、これから大きな流行になる可能性もありますが。
ポール・ビニー(敏弐) 「市川團十郎 暫 元禄見得」
続いて、新型コロナウイルス感染症に対する新しい抗ウイルス剤、
塩野義のゾコーバが緊急承認の話題。。
発症から3日以内に軽症患者が服用を開始した場合、
症状が7日前後でなくなり、
有症状の期間を約24時間短縮するとのこと。
現状、最も有効とされる抗ウイルス剤がファイザーのパキロビッドで、
40~50%程度の入院予防効果があるとされます。
この割合はワクチン接種の有無にかかわらずであり、
BA.4、BA.5流行期のもの。
治験段階では、重症化リスクのある軽症患者の89%で、
重症化予防があったとされていました。
ゾコーバに優位性は見られません。
パキロビッドには禁忌となる薬剤が多く、
妊婦または妊娠している可能性のある女性などにも使用できません。
https://www.mhlw.go.jp/content/000903772.pdf
これらの問題がゾコーバで解決できるかといえば、
パキロビッドに負けず劣らずの禁忌だらけです。
妊婦または妊娠している可能性のある女性にも使用不可です。
ゾコーバの効果は、インフルエンザに対するタミフルに近く、
タミフルの1日分は500円弱といったところ。
そして、ゾコーバは1日分約10万円とされます。
現在の日本のルールでは、患者の負担ゼロですが。
これ、どのような時に使用するのでしょうか。
政治的アピールにより、承認されたとしか考えられず、
処方される人は、
・併用薬なし
・ある程度元気
・男性
がほとんどになりそうですが、
7日前後で症状が改善ですと、
自然軽快の人も多くいるはず。
患者の利益として考えると、これを選ぶ理由はあまりありません。
パキロビッドに対してアレルギーがある人にはいいのでしょうか?
報道では好意的に採り上げられていて、
その結果、「新しい薬が出たんだろ!出せ!」
という患者が出てきそうです。
そういう人には処方されるかも。
そして、この薬を求めて、医療逼迫も? などと考えてしまいます。
熱を下げたいのであれば、カロナール、
アセトアミノフェンのような解熱剤が処方されるでしょうし、
ほかの症状でも、対症療法のデータも積み上がってきています。
同様の臨床試験を葛根湯あたりで行えば、
同じような結果が出たかも?
市販されている風邪薬、総合感冒薬だったとしても、
これぐらいの成績は出せたような気もします。
国は塩野義から100万人分を購入することで合意。
1年間の期限付き承認ということで、
実際に患者に使用して、データを見るということなのでしょう。
薬害の可能性も含めて、適切な決定とは思えません。