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これからが本番か 第8波で乖離する2つの現実

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世の中では「制限がない」ということで、
さまざまなイベントが再開していて、
ニュースでは「~年ぶりに開催」などの言葉を耳にすることが多いです。
ただ、現実の第8波は、これまでのどの波よりも、
厳しいものであることを認識すべきかと思います。

在宅医で内科医、医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長、
内閣府規制改革推進会議専門委員(医療・介護・感染症対策)でもある
佐々木淳先生の一連のtweetは、その現実をよく伝えています。

 


・12月以降1万人を超える方が新型コロナで亡くなっている
(隔離期間を過ぎ亡くなる呼吸器障害や心不全、衰弱の進行した要介護高齢者は含まれない)
・スタッフの感染により病棟単位での閉鎖も目立つ
・介護分野でも私生活を含め慎重な行動を強いられている
・それでも高齢者ケアの現場はクラスターが多発、介護・看護職員が感染
・高齢者ケアは少人数の使命感だけによる長時間・高頻度のシフトで支えられている

厳密にいえば、新型コロナによる高度医療機関の上気道重症例は
これまでの波よりも減少しているかと思います。
ただ、もはや新型コロナは肺炎を起こす感染症という認識を超え、
症状は上気道にとどまらず、全身に及びます。
ワクチン未接種の場合は、これまでのように、
X線で肺が真っ白に見えるような肺炎が多いようですが、
ワクチン接種を済ませていれば、
上気道が直接ダメージを受ける割合は減少したものの、
さまざまな合併症を引き起こす原因になってしまっています。

第8波以前でも、感染が心筋梗塞、心不全、
静脈血栓症、糖尿病といったリスクを上げることは知られていましたが、
このあたりがさらに顕著になっているように思います。
また、感染そのもので死に至ることはなくても、
療養中に体力を失い、細菌性肺炎、

誤嚥性肺炎などで亡くなる高齢者が目立ちます。

そして、後遺症。
アメリカのデータでは、14.0%の人に何らかの後遺症が見られます。
ウイルスの影響を受けた細胞は周囲の細胞に炎症を引き起こし、
炎症反応が持続することになってしまいます。

急性期での治療が終わっても、これらのリスクは残るわけです。
さらに、今、日本でもインフルエンザが流行中で、
加えて、溶連菌感染症が増加しています。
溶連菌感染症自体、健康であれば感染したことに気付かないケースも多く、
咽頭炎、扁桃炎などで済むケースがほとんどかと思います。
ただ、新型コロナに感染すると、
危険なタイプの溶連菌感染症になってしまう可能性が高まります。
免疫系にもダメージを与えるというあたり、HIVを思い起こさせ、
このウイルスの恐ろしさを感じます。
複数回の感染で、入院率、死亡率が倍以上になるというのも、
恐ろしいです。

 

チャールズ・ウィリアム・バートレット「横浜根岸の雪」

 

 先の佐々木先生は

ワクチンの接種回数が3回未満、または前回接種から半年以上経過している人は、ご自身の重症化を防ぐためだけではなく、医療を守るためにも、ワクチン接種を強くお願いしたい

とtweetされています。
接種回数と間隔については、このあたりが目安になろうかと思います。
今の「制限がない」社会のツケは、
医療現場と介護現場が否応なく引き受けさせられ、
岸田政権は、それでやり過ごそうとしています。

現実問題として、今の社会は
・感染しても仕方ない
・医療でカバーできなくても仕方ない
・あぶれた患者や後遺症については関知しない
・ほかの病気や怪我で入院・手術できなくても関知しない
という状況です。

自分や近しい人の健康と生命は

自分で守る時代になったと考えるべきかもしれません。
さらに、この状況が生み出す不満は、
医療現場に向けられ、今後さらに政治がその空気を作り出す可能性が高いです。

私は平時から
「誰かの使命感や義務感ばかりで成り立っているようなシステムは、
 医療や介護に限らず、いずれ崩壊する」
と言い続けています。

私が頑張らないと患者、利用者の困ることになる
私が頑張らないと現場の仲間たちがさらに困ることになる

そう思い、踏ん張り続けたスタッフの思い詰めた糸が、
ある日突然、切れる日が来ます。
そうして、現場から人が去り、
現場はさらに厳しくなるのです。
報道が伝えない現実も認識しておくべきかと思います。

 

 


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