日本では新型コロナ感染症について、
政府が「5月8日から5類に移行する」と発表したわけですが、
マスクについては、個人の判断に任せるということになるようです。
アメリカを見てみますと、
特にニューヨークなど、東部を中心に流行していたXBB.1.5でしたが、
ついに、全米で感染者の半数を超える割合となりました。
ちょうど2週間前には27.6%だったものが、
今は61.3%にまで上昇。
ついでBQ.1.1が21.8、BQ.9.3と続きます。
日本ではBA.5で感染拡大が起き、医療崩壊に近い状態になっていますが、
XBB.1.5の感染者は既に日本でも確認されており、
今も厳しい状況なのに、
BA.5よりもはるかに免疫逃避性がかなり高い、
つまりかなり広がりやすいXBB.1.5に対応することになりそう。
現在、アメリカのBA.5の割合は0.7%に過ぎず、凌駕されてしまいました。
それだけXBB.1.5が強い感染力があるということなのでしょう。
なお、症状についてBA.5よりも悪くなりやすいというデータはなく、
BA.5同等程度ではないかと考えられています。
XBB.1.5に対するワクチンの効果ですが、
今、日本でも接種できるBA.5対応二価ワクチンの場合、
XBB.1.5でも発症予防で
18~49歳49%、50~64歳40%、65歳以上43%という効果が期待できます。
XBB.1.5はBA.2からの派生で、
オミクロンの元株から分かれて以来、
BA.5とはかなり離れた進化をしてきています。
それでも、BA.5対応二価ワクチンの接種には大きな意味があるということです。
後遺症予防について、ワクチン接種は意味があり、
罹った後の接種でも意味があるというデータが揃ってきています。
あと、ワクチンでは接種回数が多い方が死亡率が高くなるという主張もありますが、
高齢者は4回目を接種した方が多く、
若年層はそもそも若いため、死亡率が低いです。
条件が同じではないものを比べても意味がありません。
比べるなら「30歳代で同じ回数接種した人」
「70歳代で同じ回数接種した人」というふうに、
条件を揃える必要があります。
笠松紫浪「日光 陽明門の雪」
イギリスでは71,000人の子どもたちが何らかの後遺症を抱えています。
また、子どもの感染で気になるのはMIS-C。
コロナ禍初年の2020年に川崎病に似た子どもの感染者が報告され、
各国で同様のケースが目立ちました。
その後、MIS-Cと呼ばれるようになり、診断基準が確立されていきます。
しかしながら、わからないことが多く、
確定的な診断や治療が難しいのが実情です。
治療では川崎病に基づく対応が行われています。
MIS-Cは感染から数週間後に発症することが多い炎症性疾患です。
川崎病は5歳以下に多いのに対し、MIS-Cは10歳前後に多発、
腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状、ショック症状、
川崎病では冠動脈病変を示す割合が25%ですが、
MIS-Cは8%です。
川崎病の原因は今もはっきりしませんが、
何らかの感染症を契機に免疫系の異常を来たし発症していると推測され、
新型コロナでも、これに当てはまるかと思います。
この状況で日本は5類移行となるわけですが、
政府からの病床確保の要請がなくなるということであり、
また、保健所が入院先の調整に関わらなくなります。
この感染症での入院が難しくなるおそれがあります。
今、発熱外来を行っている医療機関の中には、
5類移行でやめてしまうところもありそう。
発熱者の受診が難しくなるかもしれません。
そして、今以上に医療現場に罵詈雑言が投げられるようになりそうです。
もう一つ、政府の方針変更の煽りを喰らうもう一つの現場、
介護現場の事例を紹介しておきます。
感染してしまい謝罪する職員、
施設内感染で利用者が亡くなる、
職員は廊下に設けられたスペースで壁に向かって黙食、
頑張っても、頑張っても、利用者や患者が亡くなれば、
介護施設や医療機関は批判を浴びせられることになります。
スタッフ自身の自責の念に押し潰されることもあるでしょう。
裁判沙汰になるかもしれません。
その医療機関では、ほかの患者を守るため、
新型コロナ感染症を診療できないのに、
「診ろ!」と叫ぶ連中が増えそう。
政府がこれらに責任を押しつけようとしているのでしょう。
また、私たちにも
「亡くなる方が増えるのは覚悟して下さい」
「後遺症を抱える人が増えるのは覚悟して下さい」
と言わない政府は卑怯です。
岸田政権の支持率はさらに下がりそうです。