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「尿一滴でがん検査」は受けてはいけない

たまたまテレビCMで見かけましたので、この話題を。
尿一滴の検査でがんかどうかがわかるというものなのですが、
結論からお書きしますと、受けるべきではない検査なのでしょう。

「日本人は生涯のうちに2人1人ががんにかかる」
と言われますが、仮にこれが間違っていないとしても、
検査が有益かどうかはまた別の話です。

ワクチン接種の是非でも散々お書きしましたが、
医療は、患者、当事者が被る不利益よりも
受ける利益が大きい場合に行われるべきなのです。

新型コロナのワクチンでは、
成人の場合、副反応でつらい思いをされた方も多いかと思いますが、
それでも、感染して重い肺炎になるよりはマシですし、
今は後遺症が強く懸念されていますので、
そのリスクが軽くなるのであれば、

接種による不利益よりも利益が上回ると判断できます。

意外と認識されていないのが検査にも不利益があるという点です。
これも新型コロナの件でお書きしましたが、
検査には感度と特異度というものがあります。

感度は「陽性と出るべき人を正しく陽性と出せる割合」で、
特異度は「陰性と出るべき人を正しく陰性と出せる割合」のことです。

基本的に感度も特異度も100%にはなりませんが、
より高い方が望ましいことになります。
新型コロナ感染症におけるPCR検査では、特異度は90%以上と高いのですが、
感度が70%程度で、それでも高いといえるのですが、
30%程度は感染していても、結果が「陰性」と出てしまいます。

CMで流れていた検査は
尿に含まれるがんのにおいに線虫が反応することを利用した方法で、
「N‐NOSE検査」と呼ばれています。

「N‐NOSE検査」の感度は85%、特異度85%だとされているようですが、
いずれも検査としては高いように思います。
ただ「がんなのに陰性と出てしまう人が100人中15人いる」というのはともかくとして、
偽陽性が15%、つまり
「がんではないのに陽性と出てしまう人が100人中15人もいる」というのは
相当、重要な問題かと思います。

たとえば、私がこの「N‐NOSE検査」を受けたとして、
検査結果が「陽性」だったとします。
その時の私の精神的負担はいかばかりでしょうか。
また、「陽性」なのですから、本格的な検査をすることになるでしょう。
そして、この検査ではがんの部位まではわかりませんから、
全身を検査することになります。
悪くすれば、一生検査を続けることになりかねません。

もしも、「陽性」の人に本当に何らかのがんがあったとしても、
それを突き止め、ただちに治療を開始するべきかというと、
そうとも言い切れません。
これは福島第一原発事故後に甲状腺がんが増えたというデマでも扱いましたが、
全てのがんで「早期発見・早期治療」が推奨されているわけではないのです。

厚生労働省が推奨しているがん検診は、
肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つだけです。
これらは早期発見、早期治療が有効だとされ、
それは、進行が速く早く治療しないと生命の危機になるからです。
マンモグラフィによる乳がん検診の場合、
感度は84%、特異度は88%あたりのようです。
100人に12人は、乳がんではないのに陽性と出てしまうのですが、
それを踏まえてでも、早く乳がんを発見することが、
それぞれの女性にとっての利益となるという判断から、
国際的な議論はあるものの、国として推奨されているのだと思います。

甲状腺がんなどは進行がゆっくりしていて、
がん以外の病気や事故でその人が亡くなった時に、
解剖して初めて甲状腺がんだったことがわかるケースもあります。
それなのに、福島では「一生悪さをしない可能性が高い甲状腺がん」を
甲状腺ごと全摘出し、

ホルモン剤を生涯服用し続けなければならなくなっているケースがあります。

「尿一滴でがん検査」は、このような
過剰診断、過剰治療の原因になる可能性があります。

 

 

神奈川県藤沢市のふるさと納税で話題になった検査ですが、
この検査は利益よりも不利益が大きいと考えられ、
手を出さないほうがよろしいかと思います。
医療機関や医療に関わる企業の中には、
金儲けで勧めてくるところもありますので、要注意です。

 

 

並木一「Hanging Cherry Tree 19」

Image may be NSFW.
Clik here to view.

 

 


さて、新型コロナウイルス、SARS-CoV-2ですが、
その起源について、武漢の市場で違法に売買されていたタヌキだとする
強い証拠が見つかったという記事です。
アメリカのエネルギー省などは、
武漢ウイルス科学研究所から流出したと発表しているのですが、
政治的な問題もあり、判断は難しいです。
いずれにせよ、パンデミックの始まりは、
地方政府の隠蔽から始まり、中央政府が対応に躊躇したことからですので、
中国政府の責任なのは動かしようがない事実ではあります。

 

 


こちらは私には分不相応な論文なので評価は差し控えますが、
mRNAワクチンを接種していると、
感染による自己免疫反応を得ずに済むという主張です。
徐々にこの感染症による免疫系へのダメージが明らかになってきていますが、
それを裏付ける主張にもなるのかもしれません。
 


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