阪神タイガースが異常なゲーム差と大連勝で優勝したわけですが、
指揮を執る岡田監督には驚かされることばかりでした。
取り分け、監督自身の豹変が驚きでした。
1985年選手として優勝、2004年に1軍監督に就任。
2003年に星野監督の下で優勝したチームであり、
ほぼコーチングスタッフ、選手を引き継いだ船出だったかと思います。
2004年は4位で終了。
終了後、記憶に残っているのは、
球団の慰留を振り切って辞任した佐藤義則投手コーチの捨て台詞でした。
頑固過ぎる。人の話を聞かない。星野監督のように仕事を任せてもらえない
2005年に優勝監督となり、2008年に首位独走しながら、
巨人に終盤で逆転優勝を攫われ、球団との確執もあり辞任します。
2010年シーズンからはオリックス監督となるのですが、
3年間、5位、4位、6位という成績でした。
2011年のシーズンで、打てない主軸たちを呼びつけ、
どんな気持ちで野球をやっているのか
と質問したそうです。返ってきた言葉が
監督が怖くて、みんな萎縮して打てないんです
だったそうです。
岡田さんは後に「そらショックよ」と語っています。
彼は選手が打てなくても、言葉で問題点を指摘するような監督ではなく、
叱責されるのはコーチで、彼自身はベンチで不機嫌な顔を続けていたのでした。
2004年から見られた彼のスタイルです。
2012年9月、球団から紙切れ一枚で休養を要請され、
現場を去ることになるのでした。
2022年秋に、阪神監督への復帰が決まり、
2008年まで彼の下にいた選手やコーチたちは、
彼の勝利に対する情熱、厳しさを口々に語っていたかと思います。
ただ、2023年シーズンが始まってみますと、
そういった元選手たちは、ベンチの岡田監督の笑顔に驚くことになります。
選手は良くも悪くも、監督の顔色を窺うもので、
言葉を発しない監督の不機嫌な顔を見せられ続ければ、
パフォーマンスにいい影響がでるわけはないのです。
現場を離れていた約10年間、特に2022年には
俺だったらこの戦力で阪神を優勝させられる
そう豪語していました。
ただ、外から見てるからこそわかることがあり、
いざ現場で指揮を執ってみると、
それを実行できなくなることも多いです。
傍目八目は傍目八目のままで終わり、
野球ファンは
「評論家時代に言っていたこととやっていることが違う」と嘆くことになるのでした。
しかし、岡田監督は豹変していました。
豹変とは本来、ポジティブな言葉です。
それまでの自分の「やり方」の否定から始める部分も多かったことでしょう。
彼は指導者としての経験で得た反省を活かしたのでしょう。
選手の問題点をコーチに伝えるという方針は変わっていないようですが、
目の前の結果に、ただただ不機嫌になるだけではなく、
選手たちとのコミュニケーションを続けてきたのかと思います。
そして、彼は選手たちの前で笑うようになりました。
2008年までのJFKと呼ばれた3人の名リリーフを酷使するのではなく、
休ませながら使うというリリーフの使い方を180度転換させました。
今なら「人の話を聞かない」
「萎縮して打てない」と言われることもないのでしょう。
吉田博「ヴェニスの運河」
さて、3月に尿による線虫がん検査、
HIROTSU社のN-NOSE検査について、受けるべきではないとお書きしました。
それは、医療における検査にも害、デメリットがあり、
検査すべきなのは、検査を受ける人にとって、
メリットがデメリットを大きく上回る時にだけだからです。
もしも陽性だったら、どこにあるかもかわらないがんを探すことになりますし、
人生を通して検査し続けることになりかねません。
そもそも、無症状の人におけるがん検診が推奨されるのは、
肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つだけなのです。
だったら、これらのがん検診を受ければいいことになります。
これらのがん以外に、無症状での早期発見は、
死亡率を軽減させないため、推奨されていないのです。
仮にがんだとしても、切除もできない、
抗がん剤も使用できないケースが多いかと思います。
そして、今、別の理由で問題が浮上しています。
こちらの連載記事でスクープされているのですが、
そもそも、この検査に謳い文句にあるような、
がん患者をがん患者だと見抜く効果はないのではないかというのです。
私は知らなかったのですが、2021年にこの種の指摘はあり、
宮崎鶴田記念クリニックで、あえて治療中のがん患者10人に、
このN-NOSEを受けさせたところ、がんを罹患しているにもかかわらず、
全員が「低リスク」と判定されたそうです。
実際に、N-NOSEで陰性なので安心していたら、
症状が出て、既にがんは進行していたなんてケースもあります。
逆に陽性と判定された人が、PET検査を受けて、
がんが見つからなかった人が多数出ているようです。
上の有料記事ですので、問題点をまとめますと、
元々の研究発表は、感度95.8%、特異度95%と高いもの。
広津崇亮氏が実験やデータの取りまとめをしていたらしいのですが、
彼がいないと、共同研究者すら結果が再現できなかったとのこと。
バイアスが入る非ブラインド検査では、この結果を出せていて、
バイアスが入りにくいブラインド検査だと、この結果にはならなかったと。
自動検査装置では感度20%、特異度は60%に過ぎず、
同じ人の検体でも、日によって結果に大きなばらつきがあったとされます。
藤沢市がふるさと納税の返礼品にしていて、
日本政府も、この検査の有効性を世界にアピールしています。
元々、受けるべきではないN-NOSE検査ですが、
データ自体に疑義があるのであれば、論外と言うほかありません。
なお、HIROTSU社は公開討論を求めているのですが、
公開討論なんかを要求している時点で、
科学の観点では勝ち目がないと判断しているということなのでしょう。
正しければ論文などで研究結果を提示すればいいだけ。
科学的事実を考えるのに、討論なんて有害無益なのです。