相変わらず、日本人が受賞しないとメディアはろくに報じません。
科学に対する興味なんかなく、
日本人が受賞するかどうかにしか興味がないのでしょう。
2023年のノーベル生理学・医学賞は、
メッセンジャーRNA(mRNA)を医療に利用できるよう道を開いた2人が受賞しました。
米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ非常勤准教授と、
同大ドリュー・ワイスマン教授の共同受賞です。
ノーベル賞は候補者が順番待ちのような状態で、
対象となる研究についても、何年もかけてふさわしいか検証されます。
その間に亡くなってしまい、受賞できなかった人もいます。
今回はパンデミックから人類を救ったというあまりにも偉大すぎるな功績に対し、
異例のスピードでの受賞となりました。
mRNAが治療に利用できるのではないかという考えがあっても、
あまりにも不安定で、しかも体内では免疫反応が強すぎるため、
実用化は困難とされてきました。
両博士は2005年にmRNAの一部の化学物質を置き換えることで、
免疫の攻撃を抑制できるとして、
バイオ企業ビオンテックが創薬に着手、
ファイザー、モデルナらがこの技術を応用して、
SARS-CoV-2用のワクチンが開発されたわけです。
元々はがんなどの治療でも考えられていたのですが、
この技術がなければ、パンデミックでもっと大勢の人が亡くなっていたことでしょう。
がんなどのほかの疾患での創薬にも注目です。
日本では「選択と集中」により、
成果が得られる可能性が高いと判断された研究に多くの予算が投じられます。
そうでない研究は低予算か、ゼロということも多いです。
ただ、その分野の専門家でも成果の予測が難しい研究において、
専門家でも何でもない連中に専門的なことがわかるはずはなく、
そういう人たちが予算を振り分けているのですから、
そこにはプレゼンテーション力、コネクション、ロビイング、
声の大きさなどが関わっているわけです。
DNAワクチンを開発していたらしい大阪のアンジェスなどは、
ろくに発表もしていませんので、
ロビイングやプレゼンの上手さやコネが活きたのではないか思っています。
日本よりも研究費が使えるアメリカではありますが、
それでも、研究費の獲得は研究者を悩ませているようで、
2021年の生物工学会誌に掲載された
広島大学大学院統合生命科学研究科の黒田章夫教授の言葉の中に、
カリコ博士のmRNAワクチンの申請書はことごとく却下され,当初まったく研究費がつかなかったとある.今でいう「選択と集中」から外されていたのである.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seibutsukogaku/99/4/99_99.4_161/_pdf
とあります。
彼女自身、
研究費や奨学金などを得て昇進するのはシステムの中心付近にいてそのときの主流派の理論に従う人たちだということです。独自性のある研究はシステムの周縁から生まれます。
と述べています。
この言葉のあとに、外れていたからこそ自分の目標に集中できたとしているのですが、
予算面ではかなり苦しかったようです。
カリコ博士の場合、これで上手くいったから、
問題ないというわけではありません。
生存者バイアスにより、私たちには成功例しか見えていないのです。
日本もmRNAの技術を研究していて、予算の都合で難しくなっていました。
このパンデミックを救ったのが日本人研究者だった可能性もあるのではないでしょうか。
ヘレン・ハイド「達磨をからかう」
さて、カナダにおける2021年1月から2022年7月までの新型コロナ感染症、
そのICU入室を要した3293名は、
ワクチン2回以上接種者22.6%、未接種者72.4%とのこと。
未接種者は気管挿管、ECMO使用の割合が高く、
気管挿管の期間も未接種者が長くなっています。
いろいろとデータを見ていて、面白いことに気付かされるのですが、
日本のコロナ禍での病院での分娩時の感染対策のための面会制限は,産後1ヵ月時点の産後うつリスクを悪化させず,むしろ低下した.面会制限により,望まない面会(姑含む)がなくなったことで産婦が休養に専念できる環境が整ったことが要因の可能性と考察.400例解析(BMC Pregnancy Childbirth 2023…
— EARLの医学ツイート (@EARL_med_tw) October 5, 2023
こちらのpost、
日本のコロナ禍での病院での分娩時の感染対策のための面会制限は,産後1ヵ月時点の産後うつリスクを悪化させず,むしろ低下した.面会制限により,望まない面会(姑含む)がなくなったことで産婦が休養に専念できる環境が整ったことが要因の可能性と考察
出産後、産婦が一人になりたい思っている、
いちいち相手するのがめんどくさい、ストレスになるということでしょうか。
コロナ禍ではなかなか赤ちゃんに会えない、
感染妊婦の難しさなどの制限もあったわけですが、
コロナ禍がポジティブに働いた部分も見られたことになります。
これは日本からの報告ですが、付き添い入院が多い欧米だと異なるのでしょう。
夫がずっと一緒にいることが当たり前ですと、結果は違ってくるはず。
それに、国によっては出産の翌日に退院する例もありますので、
そもそも、入院の産後うつへの影響は薄くなるのでしょう。
最後に、
こちらは日本環境感染学会のポスターです。
現場からは、マスク着用を求めても拒否する人がいるとの声が聞こえてきます。
法的には、5類だろうが2類相当だろうが、
その施設の管理者に入館ルールを決める権利がありますので、
従う必要があります。従わない人は入館できません。
管理者は退去を求める権利も有しています。
「ハチミツとクローバー」「3月のライオン」の羽海野チカさんのイラストです。
以下からPDFをダウンロードできます。