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サイエンスZERO「ウナギはどこへ行った?」 その1

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前回のサイエンスZEROから、
ウナギが減少している問題を。

今夏、既に大きく伝えられたとおり、
年々ウナギの漁獲高が減り続けており、
特に今年の不漁は深刻です。
40年前との比較では数十分の一。
さらに、海域、種によってはワシントン条約で
漁獲禁止になるかもしれないという報道もありました。

なぜ、ウナギは獲れなくなったのでしょうか?
そして、養殖の研究はどの程度進んでいるのでしょうか?


ウナギ、不思議な魚です。
「うなぎ登り」なんていう言葉がありますけれど、
これは切り立った崖でも、
ウナギは自力で登れるので、
その姿からこの言葉が生まれています。
その場所が濡れていることという条件付ではありますが、
水から離れることも可能で、
体が濡れてさえいれば、
皮膚周辺に張り巡らされた毛細血管から
酸素を取り込むことが出来ます。

不思議といえば、ウナギの稚魚の姿を知る人はとても少なく、
最近まで誰も見た人はおらず、
どこで生まれるかもわかっていませんでした。
だから、明治の新聞には、
大真面目に

山芋から化ける途中のウナギがとれた

なんていう記事が載せられています。
ウナギは山芋から変化したものだという考えがあったようですね。

研究者が必死になって探し求めても、
ウナギの卵、稚魚は見つかりませんでしたが、
2009年になってようやく、
日本から2500kmも離れたグアム近海で、
ニホンウナギの卵を採取することが出来ました。
そこからウナギの生態がようやく見えてきます。


日本で成長したウナギは、
海底山脈を目印にひたすら南下、
6月の新月の晩に、グアム島沖で
産卵していると考えられるようになりました。

サイエンスZERO「ウナギはどこへ行った?」

生まれたばかりの数十億のウナギの稚魚は、
海流に乗り、西へ移動します。

生まれたばかりのウナギの稚魚を、
プレレプトケファルス(プレレプトセファルス)、
その次の段階をレプトケファルス(レプトセファルス)と呼んでいます。

サイエンスZERO「ウナギはどこへ行った?」

これがレプトケファルス。
この透けるほど薄い体を潮の流れに乗せて海を移動します。
西向きの北赤道海流に乗り、
そして黒潮に乗り換え、

サイエンスZERO「ウナギはどこへ行った?」

半年ほどかけて
私たちの日本列島までやって来ているのでした。



サイエンスZERO「ウナギはどこへ行った?」

これが稚魚の成長段階の画像です。
最後の段階あたりでようやく、
私たちが以前から目にしていたシラスウナギの姿になります。
私たちがウナギの養殖と呼んでいる技術は、
このシラスウナギを捕らえて、
それを生魚まで育てているということで、
細かくいえばこの技術は、
畜養の一つだといえそうです。

なお、これはニホンウナギではなさそうですが、
レプトケファルスの動画がありましたので、
貼り付けておきます。



美しいですねえ。



それにしても、なぜ日本にやって来る
ウナギの数が減少しているのでしょうか?
番組では2つの理由が挙げられていました。

一つめは産卵場所が南へ移動している影響です。
海上に雨が降れば、その海域は塩分濃度が低くなります。
ウナギはその塩分濃度が低くなる境目(塩分フロント)を
目印に産卵しているらしく、
しかし、雨が降る海域は年により大きく変化することがわかっています。
たとえば、エルニーニョ現象でも
その海域は違ってきます。
これがウナギを本来のルートを見失わせてしまいます。

2500km以上もの長距離、長時間を旅するウナギですが、
それは海流に乗っての移動です。

サイエンスZERO「ウナギはどこへ行った?」

これが通常の北緯14度の産卵場と、
日本近海へと辿り着くルートです。

これが雨の降る場所の変化により、
塩分フロントが北緯13度へと南へずれると、

サイエンスZERO「ウナギはどこへ行った?」

この黄色で示された潮の流れに乗ってしまいます。
最初は通常時と同じく西へと向かいますが、
少しだけ南であるために、
上手く黒潮への乗り換えが出来ず、
南への潮の流れに乗ってしまうことになってしまいます。
そして東へと向かう海流、ミンダナオ海流に乗り、
この潮の流れに乗ってしまうと、
どこへも辿り着けず、ウナギたちは死んでしまうことになります。
ウナギたちにとっては死滅海流です。

原因は不明ですが、
エルニーニョ現象などを含む地球規模の気候変動により、
ウナギの稚魚たちは日本近海まで辿り着けないため、
ウナギの漁獲高は減り続けているということになります。

しかし、原因はこれだけではないとされています。
日本にウナギがやって来ない原因、
それを作り出しているのは、
私たち日本人にあるというのです。


…続きます。




ねてしてタペ



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