http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11509693464.html
こちらからの続きです。
橋の工事の仕様帳を閲覧することが出来た源三郎。
一時ほどを要して、仕様帳を書き写すことも出来た。
これで入札に参加する事が出来る。
作事奉行の役宅を出ると、
一人の男が駆け寄ってきて、
源三郎の前に回り込んできた。
お引き止めして申し訳ございません。
伊勢屋の者でございます
彼は伊勢屋の手代のようだ。
どうやら、伊勢屋は源三郎の動きを監視していたらしい。
私どもの仲間になっていただけないでしょうか?
伊勢屋側はそんな事を言っている。
入札者に一人でも真っ当な額を
書き込むものがいては算段が狂う。
そこで、伊勢屋は源三郎を取り込もうというのだ。
源三郎の懐に何かを押し込む伊勢屋。
この作事は私どもが二千二百両で
落札することになっております。
あなた様がそれより下の値を書かれますと、
具合が悪いんでございまして…
くれぐれも下の値は書かないで下さいよ
そういうと伊勢屋たちは去って行った。
案の定来ましたよ。
談合の持ちかけです
そう言うと源三郎は私に2枚の小判を懐から取り出して見せた。
戻った源三郎は苦労して書き写した仕様帳を元に、
見積もりを計算していく。
ご覧なさい
作業が一区切りついたところで、
私に作りかけの見積書を見せてくれた。
ざっと目論見した勘定ですが、千両です。
本当なら今回の作事はこれで出来るはずです。
それを奴等は二千二百両で落札しようとしている
予想していたこととはいえ、
あまりの差額に源三郎の目は怒りに燃えていた。
源三郎は入札額をどうするつもりなのだろうか?
考えがあります
源三郎自身の見積額で入札するのか、
それとも談合に参加するのか…?
向こうがどう出るか確かめてみますよ
翌日。
ついに入札の日となった。
既に部屋には十人余りの棟梁たちが集まっていた。
おそらく、源三郎以外とは談合の約束が出来ているのだろう。
作事奉行・荻原と役人たちが入ってきた。
これより、大川橋普請入札を執り行う
役人がそう宣言すると、
名前を呼ばれた者から順に入札箱へと
用意してある金額を書いた紙を入れていく。
長嶋町大工棟梁源三郎
源三郎の名前が呼ばれた。
彼はどの金額で入札するのだろうか?
伊勢屋徳右衛門
最後は伊勢屋だ。
彼は2200両で入札するのだろう。
全ての入札が終わると、
奉行と役人たちは入札箱とともに部屋から出て行く。
あとは誰が落札したのか発表を待つだけだ。
源三郎を自分の肩越しに見つつ笑みを浮かべる伊勢屋。
この入札も彼の狙いどおりとなるのだろうか?
待ったのは10分ほどだろうか。
奉行を筆頭に役人たちが戻って来た。
此度の大橋架け直しの御作事請負人は
源三郎に候
落札者は源三郎だった。
前に進み出て何かの間違いではないかと伊勢屋が確認するが、
やはり源三郎が落札したようだ。
業者一同の目が源三郎に集まる。
お主、裏切ったな
源三郎が2200両より低い金額で入札したため、
源三郎が落札したのだ。
皆はそう考えていた。
あっしはあなた様の言う通りにしたまでです
しかし、源三郎の答えは違っていた。
いくらで入り札をした?
源三郎に詰め寄る伊勢屋。
二千二百両。
お宅と同じ額ですよ
呆気にとられる伊勢屋。
二千二百両より低い値は書くなと言われただけ。
同じ値を書くなとは言われませんでしたので
棟梁たちがもめているのを尻目に、
部屋から出ようとする荻原。
それに追いすがろうとする伊勢屋は役人たちに押しとどめられた。
昨日!
源三郎はすっくと立ち上がり声を上げた。
お宅にいただいた二両。
入り札と一緒に入れさせていただきました
源三郎が紙に書いたのは伊勢屋と同じ2200両だった。
しかし、彼は伊勢屋からの2枚の小判を
一緒に包んで入札箱に入れていたのだ。
此度の入り札の取り仕切りは以上
そう宣言すると役人たちは部屋から出て行ってしまった。
他の業者たちに囲まれてしまう源三郎は、
金さえ渡せば!
物事は何でも進んでいくってことだ!
胸ぐらを掴まれながらも彼は止めない。
大工の腕もへったくれもねえ!
それが今の作事の実態だ!
思惑が外れた業者たちは源三郎を押し倒して、
足蹴りを繰り返す。
その時だった。
キャー!!
女性の叫び声だ。
何事かと障子を開けてみると、
外は煙で真っ白になっていた。
火事ぃ!
業者たちが慌てふためく。
その騒ぎの中にお富が駆け込んでくる。
あの入札箱を抱えているようだ。
あたいがやったんです!
早く行きましょ!
火の中の松の葉を投げ込んで小火騒ぎを起こし、
源三郎の危機を救ったのだ。
混乱を突いて、私たちは役宅を出ることが出来たが、
二人は走り続けていた。
源三郎とお富が向かったのは武家屋敷のようだった。
菅沼様!菅沼様!
源三郎がそう叫ぶと取り次ぎの者に続いて、
もう一人の男が出てきた。
菅沼伊賀守忠義。
前の作事奉行らしい。
彼は追っ手がいないことを確認しつつ、
二人を屋敷の中へと招き入れた。
二人は不正の全てを明るみにすべく、
この入札箱を持ち出していたのだった。
その中の金額は全て、
伊勢屋と源三郎の2200両を最低金額として、
他はそれよりも上の入札をしていた。
金額の幅も不自然に狭い。
菅沼は昨今の入札の不正に頭を痛め、
以前から源三郎から相談を受けていたのだった。
これなら立派な証拠となる。
源三郎、お富、そちら大義であった
二人を讃えた菅沼はこれを上役に吟味させるつもりらしい。
ところで源三郎、先代の譲りを受けて、
大工棟梁になったそうじゃな。
お主のような真っ当な大工衆が
ちゃんと飯が食える世の中でなくてはな。
ほとぼりが冷めるまで、この屋敷で身を隠すがよい
そう言うと、菅沼は私のほうを向き直った。
そなたは?
源三郎が説明をする。
こちらのお方は遠い国から来たそうです。
ご縁あって、あっしとともに、
入り札のいかさまを曝こうと
菅沼が源三郎の説明に割って入る。
そなたの国でも賄や力づくが?
私は自分が住む世界のことを答えるしかなかった。
ええ、お恥ずかしい話ですが、
無くなったとはいえません…。
いろいろとお世話になりました
「こちらこそ…」と深々と頭を下げる源三郎。
いつか賄や力づくが無くなることを願っています
私にお富はそう言ってくれた…
1661年 相次ぐ不正に対処するため
幕府は談合を禁じる通知を出した
荻原と関係業者は厳格に取り締まられ
工事は源三郎が任されることとなった
低コスト高品質の建築が評価され
源三郎は多くの工事を受注していく
以上、コードナンバー136511、
アウトします
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